認知症の症状を和らげる「タクティールケア」とは?

公開日: 更新日:

 認知症の行動・心理症状(BPSD)に有効とされているのが「タクティール(R)ケア」です。手を使って相手の手や足、背中などに触れるケアで、押したり揉んだりするマッサージとは異なり、ゆっくりと柔らかく包み込むように行うのが特徴です。1960年代にスウェーデンで未熟児医療に携わる看護師らによって考案され、実際にタクティールケアを受けた乳児に体温の安定や体重の増加が見られたことで、有効性が示されました。

 また、触れる行為は不安感やストレスを軽減させる「オキシトシン」を増やし、「コルチゾール」と呼ばれるストレスにより分泌されるホルモンを減少させると報告されています。そのため、不安を感じやすい認知症の方のケアにおいても効果があると、近年導入している介護施設も増えてきています。

 脳卒中で入院されていた70代の男性で、軽度の認知症も見られ小さな出来事に不安を感じ、病室内にとどまることができず出てこられることもありました。認知症の症状のひとつとして、言葉で表現することができにくくなることがあります。不安に感じる思いを歩き回ることで表現されていたのだと思われます。病棟内を歩いている際は横で背中をさすり、落ち着いているときは手と足のタクティールケアを続けたところ、1週間後には歩き回る行動は減り、表情も穏やかになりました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  4. 4

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 5

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  1. 6

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  2. 7

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり

  3. 8

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  4. 9

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  5. 10

    遅すぎた江藤拓農相の“更迭”…噴飯言い訳に地元・宮崎もカンカン! 後任は小泉進次郎氏を起用ヘ