(7)父の過剰な反応に驚き、うんざりした

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 A救急病院から実家に帰宅後、ようやく父と話す時間を持てた。母はしばらく入院すること、その間、ひとりで生活してほしいこと、そして4匹の猫の世話をちゃんとすることをお願いした。

 混乱しているだけなのか、父もこのとき既に認知に問題が生じていたのかはわからないが、「お母さんも僕も入院なんてしたくなかったのに、どうしてこんなことに!」「帰ってきてお母さんに下着を届けてくれなんて僕は言っていない、あなたが勝手に帰ってきて勝手なことをしている!」と過剰な反応をされ、驚き、うんざりした。

 ただ、20年以上前に口腔がんで下顎をすべて取り去る手術をしていた父は、通常の食事が取れないため流動食をすべて自身で作る習慣がついていたのは幸いだった。ひとりになって食事ができないという心配はないだろう。私は夜のフライトで東京に帰るために、近くのバス停まで車で送ってもらった。これが父と会う最後の日となることを、そのときの私はまだ知らなかった。 (つづく)

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