「肺高血圧症」は心臓の問題が原因になっているケースがある
重症の肺高血圧症で心臓と肺の両方に機能障害があり、投薬などの内科的治療でも効果がない場合、最終的には心肺同時移植しか治療の手だてがありません。心臓と肺を同時に移植する手術です。先ほど少し触れたように、肺高血圧が高度に進行すると心臓が正常に機能できなくなるので、心肺同時移植が必要になるのです。ただ、日本ではほとんど行われていないのが現状で、これまで実施されたのは大阪大学医学部付属病院で3例だけにとどまっています。現在、国立循環器病研究センター、大阪大学医学部付属病院、東北大学病院、東京大学医学部付属病院の4施設で実施可能ですが、なかなか臓器提供者=ドナーが見つからない状況が続いています。
ですから、何よりもまずは肺高血圧症にならないように対策することが大切です。肺高血圧はほとんどがほかの病気による2次的な病態ですから、動脈硬化で血管を狭くならないようにしたり、血栓が作られにくくするために、食事や運動といった生活習慣の改善を心がけましょう。
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