(2)不登校2年…「成績が一番」という母親の価値観から抜け出せた
「不登校になったのは息子が悪いからだと考えていました。自分は子どものためを思ってやってきたのに、なぜ?と。実は、これはMさんの母親に限らず、不登校の子どもの親によくある思い込みなのです。子どもの気持ちを無視して自分の考えを押し付けてしまうのです」
Mさんは個人カウンセリングを経て集団カウンセリングに参加するようになりました。集団カウンセリングは不登校だけでなく摂食障害やひきこもり、家庭内暴力などの問題を抱えた複数の家族が参加する小野所長独自の集団家族療法です。さまざまな年齢や経歴の参加者と接することで、Mさんは親が押し付けた成績至上主義の価値観から抜け出していきました。同時に自分を肯定できるようになっていったそうです。
「親の『成績が一番』という価値観に支配されてきたMさんに、違った生き方や考え方があることに気づいてもらうことが重要でした。私が行っている集団家族療法は年齢も職業も多様な『疑似社会』を形成し、参加者が多様な価値観に触れられるのが特徴です。他の親子を見たり、自分を批判されたり肯定されたりすることで、自分を客観視できるようになり、縛り付けられていた価値観から解放されていきます」(小野所長)