安倍元首相“トップダウン”の罪…「機能性表示食品」導入決定に消費者庁もブチ切れていた!
小林製薬の紅麹サプリメント摂取による健康被害。問題を機に、紅麹サプリも表示していた「機能性表示食品」制度の導入経緯がクローズアップされている。制度スタートは2015年4月。アベノミクスの成長戦略の一環であり、安倍元首相がトップダウンで決定した規制緩和だったからだ。
国への届け出だけで済む機能性表示食品は、国が1件ずつ審査して許可するトクホ(特定保健用食品)とは似て非なるもの。人間に投与した臨床試験が必要なトクホと異なり、含有成分に関する既存の研究をまとめた文献評価でもOK。ほぼノーチェックで商品に効果や効能などを記載できる。そのため、導入時から、消費者団体や日弁連などが事業者任せを危惧する声を上げていたが、実は当の消費者庁も安倍官邸のトップダウンにブチ切れていた。
■事業者説明会は大荒れ
制度開始後の2015年7月、「機能性表示食品」の広告表示について、消費者庁の表示対策課による事業者説明会が開かれた。テレビショッピングや新聞・雑誌広告などで機能性表示食品を扱うことになるメディアの考査・審査担当者らが集まったというが、参加者の一人が説明会の様子についてこう話す。
「『こんな制度ありますか!』と、消費者庁の担当者は明らかに怒っていた。俺たちも上から押し付けられ迷惑している、という状況に驚いたので、よく覚えています」
トクホと違って役所が申請を受けるだけで安全性を評価しない点にメディア側から質問が相次ぎ、説明会は大荒れだったという。
「消費者庁が『メディア側で申請された研究論文を読んで(安全性を)判断してください』と言うので、メディア側は『専門家じゃないから査読なんてできませんよ』と反発。まさに両者のせめぎ合いでした」(前出の説明会参加者)
消費者庁の怒りはこんな発言からも透けて見えたという。
「トクホにはロゴマークがあります。それで、機能性表示食品についても何か新たにロゴマークを作るのかという質問が出たのですが、消費者庁は『届け出を受理するだけなのでロゴは作りません』とピシャリ。安倍元首相のトップダウンに付き合わされた消費者庁が気の毒にすら思いました」(前出の説明会参加者)
今回の問題を受け、制度の見直しは必至だが、つくづく安倍元首相の罪は重い。