日本生命は最大手ニチイHDを2100億円で買収…介護業界の倒産・廃業が今後激増するワケ
「全産業が人手不足で人材確保の競合が激しいなか、介護事業はヘルパーでも資格、経験が必要なうえ、他業種に比べ給与水準も低く人手不足解消は厳しい」
「介護事業者の倒産は小・零細事業者が全体の8割超を占めています。小規模事業者はICT(情報通信技術)の利用や効率化で遅れ、将来的な市場拡大やニーズがあるとはいえ厳しい状況にあるといえます」
日本生命が買収するニチイ学館は23年3月期の売上高が2689億円と介護業界のトップ。ニチイHDは介護付き有料老人ホーム146、グループホーム310、訪問介護1504、居宅介護支援314などを全国に持つ総合介護会社だ(TRデータテクノロジー調査、高齢者住宅新聞社提供)。高齢者住宅の市場調査とコンサルティングを行うタムラプランニング&オペレーティングの田村明孝代表が日本生命の買収についてこう指摘する。
「全国に介護拠点を持つニチイHDの買収は、日生にとって大きなメリットです。最終的に利用者を高齢者住宅施設へ誘導することが目的だとすると、その入り口のデイサービス、ショートステイなどの居住介護から高齢者住宅施設に移るまで一気通貫で利用者を確保できる。今後小規模事業者は、日生のように大手に集約される形が見えています」
介護業界の大きな転機となりそうだ。
(ジャーナリスト・木野活明)