フジテレビ問題で中居正広氏が反撃…問われ始めた第三者委員会の信頼性
過去の事例を見れば、第三者委がまとめた報告書は、むしろさらなる問題を生み出すこともあるのだ。
第三者委を再評価する「第三者委員会報告書格付け委員会」なる組織もある。企業法務で高名な久保利英明弁護士が委員長で、八田進二青山学院大名誉教授、テレビ番組のコメンテーターとして知られる中央大法科大学院教授の野村修也弁護士ら、9人ほどで組織される。格付け委は例えば、18年に起きた雪印種苗の種苗法違反事件では、A~Fの5段評価で全員が第三者委にB以上の高評価を下したが、16年の東亜建設工業の地盤改良工事の施行不良問題では、全員がFの辛口評価を下す格付け評価をしている。
ところが今回のフジテレビ問題では格付け委の事務局長である竹内朗弁護士が、第三者委の委員長を務めていたから、問題はややこしい。もちろん竹内弁護士も「企業が選ぶ弁護士ランキング」に上位選出される、企業法務では高名な弁護士だ。格付け委もフジテレビ問題で、“身内”がミソをつけたとあっては、今後は格付けもしづらかろう。
「弁護士業界では、例えばクレサラ問題に強いクレサラ村、倒産で管財人に就く倒産村といった具合に、得意分野を同じくする弁護士の世界を『村』で表現します。フジテレビの件は『コンプラ村』とでも言うべきでしょうか。今回の事例は、その村の常識が問われたともいうべき事態といえるのでは」(同前)
テレビ離れで地盤沈下に喘ぐ中、CMスポンサーもいまだ戻らないフジメディアHD。大株主には外資のアクティビストに加えて村上世彰氏の長女も名を連ね、SBIの北尾吉孝会長らも登場。騒ぎはまだまだ収まりそうにない。
(横関寿寛/ジャーナリスト)