識者が懸念する浦和レッズとサポーターの“関係悪化”
今回の事件の本質は何か? 今季、加入したFW李忠成への指笛などからも分かるように「一部サポーターの反韓・嫌韓を知りながら、浦和がリスクマネジメントを怠った」ことである。
浦和は09年に鹿島の韓国代表DFパク・チュホにオファーを出そうとしたが、一部サポーターの反対によって断念したことがある。犬飼社長(任期02~06年)も「韓国人選手の獲得は韓国代表を強化することになるから取らない」といった趣旨の発言をしていた。
無観客試合を1―1で終えた浦和のペトロビッチ監督は「どこの国にも人種差別はある」と語った。現住所のあるオーストリアでは「クソったれのユーゴ人」と言われることもあるそうだ。差別にあいながら「周囲にリスペクトと愛情を注ぐことで勝利した」ことを明かした。清水のゴトビ監督も「優しさ、礼儀正しさが日本の本当の顔。それを差別する人に教えていこう」という力強いメッセージを送った。
両チームの指揮官の言葉に浦和は耳を傾けるべきである。「浦和は被害者。だからサポーターを取り締まる」では、いつまでたってもサポーターの心情を理解できないだろう。サポーターとの関係がこじれ、取り返しのつかない事態に陥ってしまうのではないか?
その危険性はある。
(週刊サッカーダイジェスト元編集長・六川亨)