著者のコラム一覧
田崎健太ノンフィクション作家

1968年、京都市生まれ。ノンフィクション作家。早大卒業後、小学館入社。「週刊ポスト」編集部などを経て、99年末に退社。著書に「W杯に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇 」(新潮文庫)、「偶然完全 勝新太郎伝」(講談社+α文庫)、「真説・長州力 1951-2018」(集英社文庫)、「電通とFIFA」(光文社新書)、「真説・佐山サトル」(集英社インターナショナル)、「ドラガイ」(カンゼン)、「全身芸人」(太田出版)など多数。

5カ国中4カ国が1次L勝ち抜け W杯南米の強さは技と頭にある

公開日: 更新日:

「決勝トーナメントに入ってからが本物のワールドカップである」とは、しばしば言われることである。1次リーグとは質の違う熱戦がすでに始まっている。

 1次リーグを勝ち抜いた南米大陸代表は4カ国。大会の参加権を得たのが5カ国。5分の4は、ひとつも残れなかったアフリカ(5カ国)、日本のみのアジア(5カ国)は論外として、ヨーロッパの13国中9チームと比較しても突出した確率である。なぜ南米大陸代表は勝負強いのか。決勝トーナメント1回戦はその秘密を明らかにする試合でもあった。

 まずはフランス―アルゼンチン戦――。

 アルゼンチンは世界最高の選手、メッシを擁し、優勝候補の一角に挙げられていた。しかし、南米予選でモヤモヤとした試合を続け、5位以内に入ることが危ぶまれるようになった。最終戦でメッシがハットトリックを達成し、ギリギリ5位でW杯出場権を得たのだ。つまり瀬戸際のチームである。

 そして、決勝トーナメント1回戦では、勢いのあるフランスに敗れた(エムバペは58年大会のペレのようであった!)。敗戦を惜しむよりも、あの低調なサッカーでここまで勝ち進んだ、しぶとさを評価すべきだろう。

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