交流戦にはプロ野球界の「停滞を打破する」意義がある
今年のセ・パ交流戦はパ・リーグのソフトバンクが優勝し、リーグ全体としてもパの勝ち越しが決まった。これで10年連続パの勝ち越しとなり、今や野球ファンの間で常識的に扱われている「パ強セ弱」の図式に変化は起こらなかった。特に昨年セ・リーグ3連覇を果たした広島が交流戦最下位に沈んだのは、広島だけでなくセ全体にとっても痛いところだろう。
しかも、球団ごとの交流戦順位を見ても、下位の3球団がすべてセ・リーグである。巨人が孤軍奮闘(3位)でがんばったものの、リーグとしてはパより弱いという事実は疑いようがない。10年もこの状態が続いているわけだから、さすがに悲しくなってしまう。
また、こうなってくると、以前から一部で唱えられてきた「交流戦廃止論」がさらに熱を帯びてくるかもしれない。交流戦はもともと客入りが悪いパ球団を救済すべく導入された部分があるわけだが、今ではパ球団の改革が進み、観客動員数も伸びたため、「交流戦は役割を終えた」「今や交流戦を実施する意義はなくなった」とする論だ。
しかし、この観客動員数については、確かに伸び率という意味ではパの成長は著しいものの、それでも現状ではまだまだセがパの観客動員数を大きく上回っている。今季の1試合平均観客動員数を球団ごとに見ても、セではトップの阪神、2位の巨人がいずれも平均4万人超、その下にDeNA、広島、中日がすべて平均3万人台で続き、2万人台はヤクルトだけであるが、一方のパではトップのソフトバンクが唯一、平均3万人を大きく超えているだけで、残り5球団は軒並み平均2万人台である。