“真っすぐ”のスプリットはベースの上でスッと浮力が消える
立野和明(東海理化)
今は熱心な野球ファンにしか知られていない2人だが、3年後、5年後、多くの「国民」にその名を知られる投手になっているはずだ。
無名でも、投手としての実力があって、その投げっぷりに心打たれれば、ミットを構えて、「さあ、ここだ!」と受けたくなるものだ。
立野和明の全力投球を受けたのは先々週だ。
中部大一高から入社して3年目のまだ21歳。181センチ、81キロのユニホーム姿が、マウンドに立つとひと回り大きく見える。
長い手足をしなやかに躍らせて、時計の文字盤でいうと<11時>の角度からきれいに投げ下ろす。
まず、その角度が素晴らしい。定規で真っすぐに線を引いたような<鋭角的>な角度。そして、真上から投げ下ろしているのに、捕球の瞬間、ミットを下からはね上げられるような強烈なバックスピン。ミットを構えて胸の高さの速球は、芯で受けたはずが、ネットで引っかけるようなヘマな捕り方になっていた。
変化球はスプリットがいい。本人、絶対の自信を持って、速球以上の猛烈な腕の振りから投げ込んでくる。