J札幌選手の年俸自主返納は美談にあらず 事務局を直撃
「日本スポーツ界初とか、メディアは美談にしていますがスッキリしませんね」
あるJリーグの関係者がこう語るのは、北海道コンサドーレ札幌の選手による報酬を自主返納するという一件だ。
外国人を含めた札幌に所属する全選手は今月、新型コロナウイルスの影響による公式戦の中断を受けて、4月から9月までの6カ月分の報酬の一部を返納することをクラブに伝えた。野々村芳和社長は4月6日にメディアの取材に応じ、あくまでも今回の決断は選手たちの思いによるものであり、「他の団体や他のクラブが同調しなければいけないということは決してない。一緒に危機を乗り越えたいという意思表示であり、クラブにも勇気をくれる提案。感謝の気持ちでいっぱい」と語った。
ちなみに、選手の返納額は約1億円だと説明した。
冒頭の関係者は、「選手が自主的に返納を言い出したのか、コロナ禍で経営が厳しいクラブから発案されたことなのか、本当のことはわかりません。野々村社長からすれば公にすることで美談になるし、チームのイメージアップにもなるでしょうが、他のクラブには大きなプレッシャーになる。年俸が低い選手もたくさんいますからね。56クラブの総意ではない以上、内々でやって欲しかったというのが本音です」と語る。