父の他界で傷心…河西昌枝を救ったのは長嶋のサインだった
決勝の入場券を
毛利は続けて語った。
「たしか、8月初旬(1~3日)の甲子園での阪神戦のときです。サイン色紙とボールを長嶋さんからいただき、河西さんに渡したら大喜びしてね。お礼にオリンピックの試合の入場券を長嶋さんに渡して欲しいと。それで翌日再び甲子園で長嶋さんに会って渡したら長嶋さんも大喜び。河西さんは元気になり、練習に熱が入りましたね」
それ以来、河西昌枝と長嶋茂雄は急接近。河西は金メダルを懸けた10月23日のソ連戦の入場券をプレゼント。長嶋はお忍びで宿舎を訪ね、果物などを差し入れた。
そんな2人を選手たちは「長嶋さんとの結婚もありね」と見ていた。河西自身も「結婚したい」と言っていたのだが、オリンピック終了後だ。ある事件が起きる。 (つづく)
▽かさい まさえ 1933年山梨県生まれ。巨摩高校卒業後に日紡に入社し、62年世界選手権金。64年東京五輪金。65年に自衛官と結婚して中村姓に。2008年にバレーボール殿堂入りを果たした。