広島・佐々岡真司が「無形の力」を爆発的に転化させた瞬間
「サムシング」とは、カーブやスライダー、フォークなど勝負球になる変化球のこと。速球と変化球を磨かないと日本代表にはなれないよ、ということを大学、社会人の投手に意識してもらうために、メディアなどを通じて、扇動的にアナウンスし続けた。
キューバとの親善試合は3勝2敗と勝ち越したが、その大きな原動力となったのは投手陣だった。全5試合、46回3分の1で46三振を奪った。佐々岡のカーブや野茂のフォークのような鋭い縦の変化球を低めに制球した結果であった。
そして、速球が速ければ変化球との球速差が生じ、緩急もつけられる。打撃も含めて、パワーのあるキューバを倒すためには、力には力で対抗し、また技も駆使することが必要だと考えていた。
その点ではソウル五輪の投手陣の軸として活躍した石井丈裕(プリンスホテル)と潮崎も、この「90マイル+サムシング」を兼ね備える好投手だった。 (つづく)