落合博満に野村克也氏…名選手ほど財布のひもは固かった?
だが、その後も落合氏が若手を連れて食事に出かけることはなかったという。
2度の三冠王に加え、監督として南海(現ソフトバンクホークス)、ヤクルト、阪神、楽天を率いた故・野村克也氏もこんなエピソードを聞いた。
野村氏がヤクルトの監督だった時だ。シーズンオフに結婚する二軍選手が野村氏に招待状を送ったものの、いつまで経っても返事がない。主賓の監督が欠席なら座席の変更も必要になる。そこで、野村氏の自宅に電話を掛けて本人に出欠を確認していた時、電話口の向こうから、こんな声が聞こえてきたという。
「行く必要ないわよ!」
結局、野村氏は欠席。この選手は「監督ともなれば、それなりの祝儀を包まなければならないからかな」と思ったそうだが、野村氏とともに南海の主力打者を務めた門田博光氏は笑いながらこう語っていた。
「(野村の)おっさんはケチやで。長い付き合いだけど、コーヒー一杯ご馳走になったことがないわ」
▽富岡二郎 スポーツジャーナリスト。1949年生まれ。東京都出身。雑誌記者を経て新聞社でスポーツ、特にプロ野球を担当。