米ツアー先輩の畑岡奈紗を今季苦しめた渋野日向子の“亡霊”
気持ちはよくわかる。
米女子ゴルフの今季最終戦「CMEツアー選手権」(米フロリダ州ティブロンGC)最終日、畑岡奈紗(21)は3バーディー、ノーボギーの69。通算1アンダー38位で終えた。
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米ツアー4年目の今季は12試合に出場し、最高成績は2位(2回)。85万4024ドル(約8830万円)を稼ぎ出し、賞金ランクは5位だった。
コロナ禍で試合数が減ったり、日程の延期など、例年とは異なる調整にも苦しんだ。3年ぶりに勝ち星のないシーズンを「優勝できなかったのは残念」と振り返った。
■「いきなり来て勝っちゃうから悔しい」
米女子ツアー3勝の畑岡は昨年、同年代の渋野日向子(22)が全英女子オープンに勝ったことで気持ちに「変化」が表れたという。初の海外試合だった渋野がメジャー大会でいきなり優勝。1977年に樋口久子が全米女子プロに勝って以降、岡本綾子も宮里藍も成し遂げることができなかった日本人女子2人目のメジャーVをさらわれた。
「2人目は必ず自分が……」と、心に誓っていただけに、17年から米ツアーで戦う「先輩」の悔しさは想像に難くない。
「(全英の)日向子ちゃんは、いきなり海外に来て勝っちゃうから悔しかった」と漏らしていたのもうなずける。
「渋野が全英に勝ってから、畑岡はメジャータイトルを過剰に意識するようになった」との声が少なくない。コロナ禍で米女子ツアーが中断されて帰国した際は、やり過ぎというほど筋トレに励み体形が変わった。
「それで10ヤード以上飛距離は伸びたものの、メジャーではアイアンの精度が落ち、チャンスのパットも入らない。ANAインスピレーション7位、全米女子プロ3位と、メジャーではトップ10入りしたが、いずれも首位に6打差の最終日に開き直っての猛追だった」(ツアー関係者)
全米女子オープンでも…
今季畑岡を最も動揺させたのが、「一番欲しいタイトル」の全米女子オープンのときではなかったか。
今夏・秋の欧米遠征で不調だった渋野が最終日まで優勝を争い、国内ファンの目をくぎ付けにした。米ツアー選手やマスコミにも「渋野スマイル」を再び印象付け、大いに注目された。
「畑岡は2年前の全米女子プロの最終日に64と爆発。9打差を追いつきユ・ソヨン、パク・ソンヒョンとの3人によるプレーオフへ進出し、1ホール目にバーディーを逃して敗れた。あの時勝っていれば、今のようにメジャータイトルを必要以上に意識することなくプレーできていたでしょう」(前出の関係者)
来季も、メジャー制覇の敵は渋野の亡霊か……。