西武1位・蛭間拓哉 屈強な下半身は相撲のおかげ…挫折乗り越えた早大野球部副主将の意外な一面
蛭間拓哉(22歳・外野手・早稲田大学)=西武1位
蛭間が生まれ育った群馬県桐生市は奈良時代から織物産業の町として栄えてきた。
■桐生の織物産業を支える父、高校時代短距離走で鳴らした母
父・昌久さん(54)も織物産業の担い手で、「蛭間シャーリング」の2代目として繊維加工業を営んでいる。
「高校卒業と同時に上京してブラブラしていたら、20歳の時に実家の父が『戻ってこい』と。一人っ子だったもんで、家業を手伝ううちに後を継いでいました。シャーリングですか? 洋服が出来上がるまでには、例えば染物屋のように専門的な加工を担当する会社がいくつもあるんです。それぞれが得意分野ごとに分業して、一つの洋服を作る。シャーリングは分業の工程の川上にあたります。機屋から生地を受け取り、注文に合わせて余計な部分を刈り取っていく。例えば、シースルーなど、透けているような服を作るにはシャーリングが欠かせません」(昌久さん)
作業はすべて機械任せ、というわけではない。手作業で糸を選り分けたり、ひげ剃りのような特殊な工具を握り、指定された長さで繊維を切断したりする。昌久さんは「簡単に言うと、生地の美容師ですよ」と表現する。職人技の上に成り立つ仕事だ。