2023年ドラフト「得した球団、損した球団」スポーツライター安倍昌彦氏が掛け値なしに採点
ロッテの2位指名には異論あり
一方で、損した球団、うまくいかなかった球団は1巡目で3度クジを外したロッテです。
運が悪かったというほかありません。クジを3度も外せば戦略は狂います。クジ引きがうまくいかなかった球団が損をした、ということにならざるを得ないでしょう。
それでも、外れ外れ外れ1位で大学球界の大砲・上田希由翔(22=明大)を指名できたのは大きいと思います。大学1年秋から4番を務めた強打者。ロッテにはいわゆる「中軸が似合う」選手がいないですからね。
ただ、気になったのは2位指名です。大谷輝龍(日本海リーグ富山)は大きな賭けをしたなという印象です。
150キロ超の直球があり、制球に磨きをかけてきた。打者が直球だとわかっていても空振りを取れる。鉄腕の益田がベテランの域に入り、抑え候補になりうる投手とはいえます。独立リーグからは湯浅(BC富山→阪神)、石井(四国IL高知→同)が大成功を収め、プロ側が独立の選手の実力を見直してはいるものの、投手なら左の剛腕である広島3位の滝田一希(21=星槎道都大)も面白かった。フォームが我流で好みが分かれるところかもしれませんが、ハングリー精神もありますし、左の先発投手が小島しかいないロッテでは貴重な戦力になったかもしれません。
上田と同じ東京六大学の右の大砲・ソフトバンク3位の広瀬隆太(22=慶大、内野手)も面白い存在です。上田と広瀬という左右の大砲2門を揃えれば、新しいスター候補としてウリに出せたでしょう。
■オリックス横山 単独1位のウラ
ちなみに、この2球団以外ではオリックスが横山聖哉(18=上田西、内野手)を単独指名したことに驚いた向きは多いでしょう。実はあるパ球団の担当スカウトが横山にゾッコンだったそうです。外れ1位という評価をしていた球団は多かったかもしれませんが、オリックスは2位指名の順番が最終の24番目。その時点で横山は間違いなく消えている。外れ1位での競合を避ける意図があったとすれば、単独指名も納得です。