「強くなりたいのか」と殴られた…元横綱・柏戸が受けた理不尽と伊勢ケ浜部屋の対極

公開日: 更新日:

ドラマ「サンクチュアリ-聖域-」のリアルなシーン

 私ものちに某部屋で、稽古後に一人残って黙々とすり足をする関取を見た他の関取から、「そんなに強くなりたいすかね」と耳打ちされ、嫌な思いがしたものだ。

 ネットフリックスで話題になったドラマ「サンクチュアリ-聖域-」でも、主人公に感化されて稽古に身を入れ始めた序二段力士が、一緒に主人公をいびっていた兄弟子にとがめられ、「俺だって強くなりたいんすよ」と言い返す場面があり、リアルだった。

 今の伊勢ケ浜部屋では、たぶん見られない光景だろう。これまでも稽古の厳しい部屋では、柏戸のような資質を持たない力士でも次々と関取になった。彼らの多くは「最初はやらされた稽古でも、結果が出ると自分からやるようになった」という。

 そうした部屋にするには、大変な苦労や淘汰があり、時代も違うが、現実にこうして結果が出る部屋があり、稽古が厳しくても強くなりたいという弟子が集まってくれば、「負の聖域」も自然に縮小していくことだろう。

▽若林哲治(わかばやし・てつじ)1959年生まれ。時事通信社で主に大相撲を担当。2008年から時事ドットコムでコラム「土俵百景」を連載中。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「餅」で尿意ストップ! 映画の途中にトイレで席を立ちたくないなら

  2. 2

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  3. 3

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  4. 4

    阿部巨人が企む「トレードもう一丁!」…パ野手の候補は6人、多少問題児でも厭わず

  5. 5

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  1. 6

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  2. 7

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  3. 8

    広島新井監督がブチギレた阪神藤川監督の“無思慮”…視線合わせて握手も遺恨は消えず

  4. 9

    自民にまた「政治とカネ」問題!太田房江氏に選挙買収疑惑、参院選公認めぐり大阪でグチャグチャ泥仕合

  5. 10

    イケイケ国民民主党に陰り? 埼玉・和光市議補選は玉木代表が応援も公認候補まさかの敗北