「腰痛は歩いて治す」谷川浩隆著

公開日: 更新日:

 日本人の4人に1人が悩まされている腰痛は、現代の国民病のひとつと言える。ところが病院を受診してもレントゲンでは異常が見つからず、「湿布を貼ってしばらく様子を見てください」などと言われるだけのことも多い。

 原因が分からなくても、体に痛みがあれば安静にしている場合が多いだろう。しかし、運動器は“体を動かす”という、人が人らしく生活するためにもっとも大切な器官である。これが痛むと日常生活が不便になるばかりか、メンタル面にも悪影響を及ぼす。近年では、動きを制限されることで体よりも心へのダメージが積み重なり、痛みが増幅されると考えられている。

 例えば、かつて変形性膝関節症の患者には関節のすり減りを危惧して無理に動かさないよう指導するのが一般的だった。しかし現在は、関節よりも動かないことによる心のすり減りが問題視され、積極的に運動を勧める整形外科医が増えているという。運動器は動かした方が治るというメカニズムとしては、組織の血行をよくして筋肉や骨、関節が劣化するのを防止することなどが考えられている。本書では、「動かして治す」という治療を行った患者の例を挙げながら、痛み及びメンタル面の効果について解説している。

 肩こりや腰痛に悩む人のためのストレッチや、ウオーキング方法なども紹介。歩く際には背筋を伸ばしてやや大股で、かつ体が緊張しないよう楽な気持ちで少しスピードを上げて行うのがいいという。手を大きく振ることで、腰や下半身だけでなく背中や肩甲骨、首回りの血行がよくなり、痛み軽減も期待できると本書。運動器の長引く痛みに悩まされているなら、「動かして治す」を試してみてはいかがだろう。

 (講談社 900円+税)

【連載】長生きする読書術

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる