「一緒にお墓に入ろう」江上剛著

公開日: 更新日:

 大手銀行の常務取締役執行役員の大谷俊哉は、63歳の誕生日を愛人の麗子に祝ってもらう。食事の席で、役員会議で話題になった墓の話を持ち出すと、麗子は俊哉と同じ墓に入りたいと言い出す。

 深夜、自宅に戻った俊哉に郷里の母・澄江の危篤の知らせが入る。澄江は俊哉の妻・小百合に「お墓を頼む」と言い残し、亡くなる。

 葬式後、俊哉は妹から大谷家の墓の件で問い詰められるが、話し合いは平行線。隣町に嫁いだ妹は、相続放棄をして実家の土地財産を譲るよう俊哉に迫るが、実家の墓を守るつもりはないようだ。郷里を出て久しい俊哉には、実家にも、墓を守ることにも関心はない。

 一方の小百合は澄江とも、俊哉とも同じ墓に入る気はない。墓をめぐる人間模様をユーモラスに描く終活小説。

(講談社 946円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大逆風の田中将大まさかの〝浪人〟危機…ヤクルト興味も素行に関する風評が足かせに

  2. 2

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  3. 3

    楽天・田中将大の二軍テスト続行を明言…“外様”今江監督ならではの「常識的判断」

  4. 4

    「(菊池雄星を)高1で超えてやる」 天性の負けず嫌いが花巻東に進学した“本当の理由”

  5. 5

    斎藤元彦知事&代理人弁護士「時間差会見」のあざとさ…二人揃ってPR会社美人社長をバッサリ切り捨て

  1. 6

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  2. 7

    斎藤元彦知事が百条委トンズラで大誤算!公選法違反疑惑に“逃げの答弁”連発も「事前収賄罪」の可能性

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    「終わらない兵庫県知事選」の行方…新たな公選法違反疑惑浮上で捜査機関が動く“Xデー”は

  5. 10

    斎藤元彦知事代理人の異様な会見…公選法違反疑惑は「桜を見る会前夜祭」と酷似、期待されるPR会社社長の“逆襲”