「先祖探偵」新川帆立著
「先祖探偵」新川帆立著
先祖探偵を名乗る風子の事務所に、曽祖父を捜してほしいと依頼人の甲斐が訪ねてくる。
甲斐によると、宮崎県日南市役所の職員・黒木が東京の自宅を訪ねて来て、曽祖父の三郎が来月111歳になり、日本最高齢の男性として市で表彰したいと言われたという。亡き祖父は確かに宮崎出身だが、甲斐は曽祖父が生きているなど聞いていない。
黒木によると本籍地に本人は住んでおらず居所を探しているらしい。風子は死亡届が出されないまま戸籍が残る「幽霊戸籍」の可能性が高いと説明するが、生死にかかわらず三郎のことを調べてほしいと頼まれ調査を始める。
ほかにも、宿題で先祖を調べる中学生からの依頼など、自身も5歳で生き別れた母親を捜す風子を主人公に描く連作集。
(角川春樹事務所 748円)