原点は烏山ロフト「坂本龍一は天才。大物になる」と吹聴
近隣の桐朋学園大音楽学部、白百合女子大に通う女子大生は言うまでもなく、とにかく女性客にモテた。羨ましいを通り越し、悔しいほどモテまくった。
ある意味、彼の原点は「ロフトにある」と言ってもいいだろう。
烏山ロフトに「交流ノート」という落書き帳を置いた。常連客だった平凡パンチの新進気鋭ライター生江有二さん、「最後の全共闘」と呼ばれた明大の二木啓孝さん(日刊ゲンダイOB)、地元の書店「烏山書房」2代目の小林秀夫さんといった面々と一緒に小難しい論文やルポ、音楽関連の雑文を書き連ね、論争を巻き起こしていた。
そう言えば音楽青年だった二木さんの依頼を受け、ジャズの山下洋輔トリオ、山下達郎さんが結成したシュガー・ベイブなどが出演した明大自治会主催のコンサートを企画したこともあった。
坂本は店に集う女子大生やミュージシャンを目指す若者にとって、まさに<教授>のような立ち位置だった。
「ヤツは天才だ。必ず大物になる」
周囲にそう吹聴した。