「五輪どころではない」スポーツ大国の韓国にも影を落とすコロナ感染者の急増
■「スポーツでメシが食えるか」の時代
当時の韓国といえば、まだ「スポーツでメシが食えるか」と考えられていた時代。肉体的な活動を良しとしない儒教の影響もあり、スポーツに対する偏見もあった。ところが66年、ソウルの外れに「泰陵(テルン)選手村」を建設。この大規模なトレーニングセンターにはグラウンドや体育館はもちろん、500人もの選手を収容できる合宿所など24棟の建物も並ぶ。世界にも類を見ない規模といわれるが、国家予算で運営されているので、代表選手たちは費用の心配をする必要がない。
さらに、素質のある選手はスポーツ特待生として大学に進学できるようにし、メダリストの年金制度も充実させていく。こうしたシステムが功を奏して韓国はスポーツ強国となった。
とはいえ、今回ばかりは金メダルを期待する声は聞かれない。選手村での感染対策が不十分という報道もあったせいか、選手の集団感染を心配する人もいる。友人は「金メダルはどうでもいいから、日本で感染することなく無事に帰国してほしい」と漏らした。まるで子供を戦場に送り出した肉親のような口ぶりだった。