NHK大河「鎌倉殿の13人」“劇伴”への違和感…音楽にもウソが通る社会が反映される
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見ていると、たびたび驚かされる。その音楽に、聞き覚えのあるメロディーが出てくるからだ。ドボルザークやビバルディなど、クラシックの名曲のメロディーである。
映画やドラマで流れる音楽を業界用語で“劇伴”という。
大河ドラマの劇伴は毎年異なる作曲家に発注され、オリジナルの楽曲が多数作られる。私も「太平記」(1991年)と「花の乱」(94年)の2本を書かせていただいた。それからずいぶん経つが、いまでもオリジナルであることは変わらないはずだ、と思っていた……が、違っていたようだ。
びっくりしたのはいきなりのドボルザークだ。第1話で北条義時が源頼朝をかくまうため姫君の格好をさせて屋敷から馬で逃げる場面。そこに「新世界より」が流れた。古い社会の体制から逃れて、義時は“新しい世界”に頼朝と旅立つ――。その象徴として「新世界より」を一部、引用した。そう思われた。
だが後日、壇ノ浦での平家滅亡が描かれたときにはビバルディの「四季」が使われ、バッハの「無伴奏チェロ組曲」によく似た曲も流れた。そして先日の放送では、モーツァルトの「レクイエム」も使われた。