漫画家・やくみつるさん(56) 痛風・尿路結石
今でも、自分の体内に石があるんです。最近は毎年、人間ドックに行っているので、あることは確認済みです。そいつが動いた時にまた例の痛みに襲われる……。いつ動くかですよね。平時ならいいけど、旅先で動かれたらたまらない。
それが嫌だから、砕いてしまおうかとも思うのですが、医師からは「まだそれほどでもない」と言われる。いっそのこと成長してくれ! とも思うんですが、今のところずっと同じ程度で推移しています。
ただ、自分には結石があるんだということを知っていれば、あの尋常ならざる痛みに襲われても「大騒ぎすることじゃないんだ。たまたま石が動いているだけ」と思えます。後付けの知識ではあるけど、生命に危険が及ぶまでの痛さじゃない。これは、ただ痛いだけなんだと思えば耐えられる。
かつて「木枯し紋次郎」というテレビドラマがあって、その主題歌の歌詞に「痛みは生きているしるしだ」というのがあります。これは染みますね。
「いてぇのは生きてるからなんだ」──。そう思えばいいんですよ。
▽早稲田大学商学部を卒業後、出版社勤務を経て野球4コマ漫画の単行本でデビュー。96年に文藝春秋漫画賞を受賞した。現在はテレビのコメンテーターやエッセイストとしても活躍。好角家として日本相撲協会外部委員も務めた。