手術不能の患者に希望を与える欧米流「がんの時間治療」

公開日: 更新日:

「肝動注で奏効率を比較すると、通常では46%ですが、時間治療でやると61%。それに副作用の出現も10分の1に減ります。抗がん剤をセカンドラインで通常投与した場合の奏効率は15~20%ですが、肝動注の時間治療では40%です。さらに手術できるまでがんが縮小する率は通常投与では15~16%ですが、肝動注の時間治療では40%です」

 がんの時間治療は、フランスやカナダで積極的に行われているが、国内で普及しないのは承認されている小型のポンプがないからだ。ポンプを自宅へ持ち帰れなければ入院治療になる。そうなると医療機関は赤字になるという。

「しかし、時間治療は分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬にも使えると思います。それに、安価な新薬と時間治療の組み合わせも、将来的に期待がもてます」

広島県出身。1989年福島県立医科大学卒。横浜市立大学医学部付属病院で研修後、米国と仏国の病院に留学。横浜市立大学講師、准教授を経て、2013年帝京大学ちば総合医療センター・外科教授。17年4月から現職。〈所属学会〉日本肝胆膵外科学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会など。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「餅」で尿意ストップ! 映画の途中にトイレで席を立ちたくないなら

  2. 2

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  3. 3

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  4. 4

    阿部巨人が企む「トレードもう一丁!」…パ野手の候補は6人、多少問題児でも厭わず

  5. 5

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  1. 6

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  2. 7

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  3. 8

    広島新井監督がブチギレた阪神藤川監督の“無思慮”…視線合わせて握手も遺恨は消えず

  4. 9

    自民にまた「政治とカネ」問題!太田房江氏に選挙買収疑惑、参院選公認めぐり大阪でグチャグチャ泥仕合

  5. 10

    イケイケ国民民主党に陰り? 埼玉・和光市議補選は玉木代表が応援も公認候補まさかの敗北