著者のコラム一覧
天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

弁膜症 ベトナムでも日本と同じ時間・内容の手術ができた

公開日: 更新日:

 8月中旬に訪れたベトナムでは、冠動脈バイパス手術のほかに心臓弁膜症の手術を3例行いました。

 いまのベトナムの社会環境は30~40年前の日本を見ているかのような印象で、公衆衛生がまだ不十分なため、リウマチ性の心臓弁膜症が多いのです。日本では昭和40~50年ごろに多かった病気です。リウマチ性といっても「関節リウマチ」とは無関係で、溶血性連鎖球菌への感染によって起こる「リウマチ熱」の炎症が心臓の弁膜まで及ぶことで発症します。数年から数十年かけて弁が硬くなって機能しなくなり、狭窄や閉鎖不全で血液の循環がうまくいかなくなります。

 弁膜症の1例目の手術は、首都ハノイ市にある国防軍医科大学付属103病院で実施しました。軍関係者だけでなく一般の患者さんも扱う教育病院で、患者さんの数も多く活気がありました。ただ、手術室の造りが古く、日本でいえば40年くらい前の手術室といった雰囲気でした。施設のトイレも古びていて、病院全体に消毒液のにおいが漂っている……かつての日本の結核病棟のようなイメージです。

 とはいえ、手術は完璧に終わらせました。僧帽弁狭窄症の患者さんの人工弁置換術に加え、これも狭窄していた冠動脈のバイパス手術を実施。さらに心房細動もあったので、心房の筋肉を一度切り刻んでから修復させるメイズ手術も追加しました。日本で同様の手術を行ったケースとほぼ同じ時間、内容で終わらせることができたので、自分自身でも納得のいく結果を出せました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末