WHO推奨は1日5g未満だが…日本人は本当に塩分過剰なのか?
その根拠とされるのが1988年に発表された「インターソルトスタディ」だ。ロンドン大学などが共同で日本の大阪や富山、英米など世界32カ国52地域で実施した疫学研究で、「1日の塩分摂取量が6~14グラムの人は塩分摂取量と高血圧に相関関係がない」という結果だった。
また、2014年には世界最高峰の医学雑誌「ニューイングランドジャーナル」に食塩摂取量と循環器疾患の発症や死亡との関連を調べたコホート研究(PURE研究)が発表された。世界17カ国に住む35~70歳のおよそ10万人を対象としたもので、ここでも1日7・6~15・2グラムの塩分摂取を基に考えると、それ以下でも以上でも問題があることが示された。
「塩の主成分であるナトリウムが血圧を維持しているならば、むやみに減塩して必要なナトリウムを得られなくなると、生命維持に必要な、全身に血液を巡らせるための血圧が保てなくなります。そうなると血液が固まりやすくなったり、認知機能に影響が出たり、体のだるさや筋力・気力の低下、立ちくらみの症状を引き起こしたりする可能性があります。塩には体温を保つ働きがあるので、冷え性や下痢などのほか、感染症が発症しやすくなる可能性もあるのです」