薬品メーカーや医療機関は高血圧の人が増えるとうれしい?
高血圧の人が減るのはうれしいことで、増えるのは困ったことだというのが普通の世の中です。しかし、それだけでは成り立たないというのが現実です。現実の世の中は普通でないのが普通だというわけです。
高血圧の人が増えるとうれしい人たちとはどういう人たちでしょうか。例えば降圧薬を作っている薬品メーカーです。ただ、それには反論があるでしょう。メーカーは高血圧の人を減らすために降圧薬を売っているわけで、薬が普及して、高血圧の人が減るのがうれしいのは同じです。増えるとうれしいわけではありません。そう説明することができます。しかし、自社の薬がたくさん売れるのもうれしいことに違いありません。
また、患者を増やしたい医療機関というのも同様です。医療機関であっても薬品メーカー同様、放置している高血圧患者にできるだけ受診して、治療して、結果的には高血圧の人が減るのがうれしいということですが、医療機関が黒字になって、給料が上がるとうれしいというのもまた現実です。
薬品メーカーといえども、医療機関といえども、高血圧の人が増えるとうれしいわけではなく、降圧薬が売れ、治療する人が増え、高血圧の人が減るのがうれしいというほうが実際だというのは、もっともな反論です。しかし、この2つのうれしさを区別することができるでしょうか。全部ひっくるめてうれしいというのが実際で、区別するのは無理だと思います。
それで現実はどうなっているかというと、薬が売れることと高血圧の人が減ることは最終的には矛盾しないので、高血圧の人がいったん増えるとうれしい世の中が出来上がるというわけです。