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河野道宏東京医科大学脳神経外科 主任教授

東京医科大学病院脳神経外科主任教授。聴神経腫瘍・小脳橋角部腫瘍・頭蓋底髄膜腫手術のエキスパート。

聴力低下の原因は突発性難聴?そのまま聴力を失うことも

公開日: 更新日:

 聴神経腫瘍は脳腫瘍のひとつで、それ自体は良性ですが、大きくなると脳幹を圧迫し、命にかかわります。さらに聴力を失う恐れがあります。出来る限り早く適切な診断を受け、治療をする必要があるのですが、実は、別の病気と誤診されているケースが結構あるのです。

 それは、突発性難聴です。突発性難聴は、ある日突然発症する病気で、原因は内耳のウイルス感染、循環障害、ストレスなどが挙げられていますが、はっきりしたことは分かっていません。血液検査や画像検査ではっきり目に見える形で結果が表れるわけではないため、診断が難しい点もあります。

 突発性難聴の最初の症状は、耳鳴りやめまい、難聴です。そしてこれは、聴神経腫瘍でも起こります。患者さんは「聞こえ」の異常などから耳鼻咽喉科を受診する。耳鼻咽喉科医は聴力検査などをして、「急に聴力が落ちている→突発性難聴ですね」と安易に診断してしまう。突発性難聴の患者さんが多いため、ほかの病気の可能性が頭に浮かびにくいのかもしれません。

 私が診た患者さんの中にも、突発性難聴と診断され、「突発性難聴は治療(ステロイドホルモン剤の投与など)を行っても後遺症なく完治することもあれば全く聴力を喪失することもある」と説明され、どちらの結果になってもMRIなどで脳を調べることなく放置されている方が少なくありません。

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