子供の頃に受けた抗がん剤治療の影響が心臓に表れるケースも
実際にいま、がんから生き延びた「キャンサーサバイバー」と呼ばれる何人かの患者さんから、同じような状況で心臓治療の相談を受けています。これも、抗がん剤と心臓疾患の新たな課題といえるでしょう。
■成人先天性心疾患と重なる患者もいる
さらに、「ACHD」=「成人先天性心疾患」という新しい研究分野にも抗がん剤は関わってきます。心臓治療の進歩によって、先天性心疾患がある小児の95%以上が完治して成人に到達できるようになりました。同時に、小児期に受けた手術の後遺症として、年を経てから心臓弁膜症などが表れるケースが増えていて、新たな課題になっています。
そして、そうしたACHDの患者さんも、一般的な人と同じ確率でがんにかかります。もともとあった心臓疾患を子供の頃に治療して、加齢に伴って後遺症による心臓弁膜症が徐々に進行しているところでがんにかかり、抗がん剤治療を受けた影響で再び心臓疾患が悪化……といったように、近年増えてきた“新たなジャンル”の疾患が重なって、患者さんに表れる可能性があるのです。