【腰】前屈みで下を向き長時間座る“スマホ姿勢”が危ない
「腰は体の要」といわれるように、二足歩行の人間にとって、腰は日常生活のすべての動きに関係している。しかも、起きている間は頭と胴の上体の重みがかかり続けるので、体で最も負担がかかる部位といえる。ほとんどの人が、一生に一度は腰痛を経験するといわれるのはそのためだ。
しかし、腰への負担はそのときの姿勢によって変わる。どれくらい違うのか。NTT東日本関東病院・整形外科の山田高嗣主任医長が言う。
「姿勢による腰への負担の比較では、腰椎の椎間板にかかる荷重を調べた有名な研究があります。それによると、正しい姿勢で立った状態でかかる荷重を100とした場合あおむけに寝ると25、横向きで寝ると75、立って前屈みになると150、イスに正しい姿勢で座ると140、座って前屈みになると185と、腰への負担は変化します」
正しい姿勢で立った状態とは、背筋を伸ばし、顎を引き、胸を張り、おなかを引っ込めて、真っすぐ立った状態。この姿勢を横から見ると、背骨はきれいなS字状カーブを描き、骨盤は前に30度ほど傾く。それが猫背など無意識に前屈み姿勢になると、背骨のS字状カーブが崩れて腰への負担が50%も増える。また、勘違いしやすいのは立ち姿勢より、座位の方が腰への負担が強いこと。さらに前屈みの悪い姿勢で座ると、正しい姿勢で立っているより腰への負担は85%もアップする。