「希望を持っていたい」ステージ4のがん患者にそう言われ…
外来診察でのある日、いつものように診察が終わって、Dさんが「先生、大丈夫です。頑張ります」と話して帰ろうとした時のことです。G医師は、「一度、ご家族とか看護師とか皆さんに集まっていただいて、Dさんの今後のことで話し合っておきたいと思うのですが……」と言いながら、机の引き出しから「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」と印刷された資料を取り出しました。
この表紙を見たDさんは、「人生の最終段階……」と読み上げたところで、「え! 先生! 私、そんなに悪いのですか?人生の最終段階って、もうそんなに生きられないのですか?」と驚いています。
G医師が「いや、そういうことではないのですが、でも、Dさんには肺がんでステージ4とお話ししていますよね」と説明すると、Dさんはこう答えました。
「はい、聞いています。でも、最終段階だなんてショックだわ。えー! もう、そんなに生きられないのですか? でも、最近、免疫療法でノーベル賞をもらった薬もあるんでしょう? 私は最終段階の話なんて聞きたくないんです。希望を持っていたいんです」