「希望を持っていたい」ステージ4のがん患者にそう言われ…
G医師は、「もちろん、Dさんの意思が尊重されることが一番大切です。分かりました。きょうはこのくらいにして、また相談しましょう」と話を終わらせながら、内心で「しまった。Dさんにはこのことは話すべきではなかった」と思ったそうです。
■アドバンス・ケア・プランニングが患者になじむのはまだまだ難しい
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)という取り組みがあります。愛称は「人生会議」で、厚労省は人生の最終段階における医療・ケアの在り方としてこの取り組みを勧めています。
その目的は「患者の意向に沿った終末期療養の実現」で、「医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて医療・ケアを受ける本人が多専門職種の医療・介護従事者から構成される医療・ケアチームと十分な話し合いを行い、本人による意思決定を基本としたうえで、人生の最終段階における医療・ケアを進めることが最も重要な原則である」としています。
しかし、Dさんのように、「先のことは聞きたくない」という方もおられます。日本人では、自分の予後について聞きたい人が50%、聞きたくない人は30%という報告もあります。また、患者によっては、自分の最期について医師とだけではなく、他職種の数人で話し合うのを嫌う方もいらっしゃいます。