中国で正式に認められるアビガンは日本でも切り札になるか
「アビガンは『核酸アナログ』と呼ばれる薬で、ウイルスが細胞にくっついてRNAを複製する際に必要な『RNAポリメラーゼ』という酵素の働きを阻害することでウイルスの増殖を抑制します。RNAウイルスは同じような過程で増殖するものが多いため、インフルエンザ以外のウイルス感染症にも効果があるのではないかと考えられているのです。以前、ギニアではエボラ出血熱の患者に投与して効果が検討されましたし、日本でもすでにマダニがウイルスを媒介するSFTS(重症熱性血小板減少症候群)に対する有効性が報告されています。今回の新型コロナウイルスに対しても実験室レベルでは阻害作用が認められています。中国での臨床試験でも、対象は少ないながらウイルスの体内存続期間が短くなったり、肺炎症状の改善が認められています。一定の効果は期待できるでしょう」
中国で行われた臨床試験では、他にも解熱までの期間や咳が緩和する期間の短縮が確認され、「明らかな副作用も見られず安全性は高い」と報告されている。アビガンが新型コロナウイルス治療の切り札になる可能性はある。ただ、日本でもすぐに一般で投与が始まるかといえば現状では難しいと予想されている。