病院への搬送がプラスに働いた98歳一人暮らしの元女優
「ある日、ヘルパーが訪問すると、内側からチェーンがかかったままで返事がない。慌ててレスキュー隊を要請して家に入ると、彼女はベッドの脇に倒れていました」
救急車で病院に搬送されれば、救命措置が行われる。そうなると、希望する最期を迎えられないかもしれない。
しかし、レスキューの人たちからすれば、倒れている女性を放置することもできず、そのまま堀ノ内病院に搬送された。
「体調が少し戻ったら早めに退院させて、セピア色の世界に戻すのが最善」と小堀さんは考えていたが、本人は違った。
「退院の意思を聞いたら、『もう少し入院してもいい』と言うのです。その理由を聞くと、病棟の担当医による口内炎の治療がきっかけでした。『口の中に指を入れて薬を塗ってもらったの。こんなに優しい先生がいるのなら入院生活もいいわ~』と言っていました」
その後は、食事も十分に取れるようになって、体調は劇的に回復した。自宅には戻らず施設に入り、穏やかに暮らしている。