頭木弘樹さんは潰瘍性大腸炎で13年間入退院を繰り返し…

公開日: 更新日:

 お見舞いでいただく本やテレビの中の人は、病気でも頑張って明るく暮らす人や立ち直って希望を見つけた立派な人ばかり。まぶしすぎて見られないんです。

 そこへいくと、カフカやドストエフスキーは真っ暗で、光や希望がない。「それで何が救われるんだ?」と思う人もいるでしょうが、読んだって何も解決しないところが救いなのです。肩を貸して一緒に歩いてくれる優しさではなく、倒れたままにしておいてくれる優しさ。

 暗い道で1人では怖いけれど、2人なら心強いでしょ? 古典文学は光じゃなくて、暗い道で一緒にいてくれるものだと思います。

 病気からは何も学ばなくていいんじゃないかな。海で溺れた人に「ついでにアワビとってきて」と言っているようなものだから……(笑い)。

 (聞き手=松永詠美子)

▽かしらぎ・ひろき 筑波大学卒業。20歳で潰瘍性大腸炎を発症し、13年間、入退院を繰り返す。代表作は編訳した「絶望名人カフカの人生論」。著書に「絶望読書」「カフカはなぜ自殺しなかったのか?」などがあり、文学紹介者としてテレビやラジオにも出演している。近著に「食べることと出すこと」「落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ」がある。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    フジテレビ「第三者委員会報告」に中居正広氏は戦々恐々か…相手女性との“同意の有無”は?

  3. 3

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  4. 4

    兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂

  5. 5

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  1. 6

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 7

    冬ドラマを彩った女優たち…広瀬すず「別格の美しさ」、吉岡里帆「ほほ笑みの女優」、小芝風花「ジャポニズム女優」

  3. 8

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 9

    やなせたかし氏が「アンパンマン」で残した“遺産400億円”の行方

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」