頭の違和感 軽いくも膜下出血は医師も見分けられない?
すぐさま命に直結する脳の病気がくも膜下出血です。脳の太い血管にできた脳動脈瘤という“こぶ”が破れることで、脳の表面を覆うくも膜下腔に、ある日突然出血が起きる病気です。適切な処置が行われたとして、一般的には後遺症なく元の生活に復帰するのは約50%で、何らかの後遺症が残ったり、亡くなられる方が残りの50%といわれています。
典型的な症状としては、後ろからバットで殴られたようなかつて経験したことのない激しい頭痛です。頭痛と共に意識がなくなり昏睡状態で救急車で運ばれる患者さんは診断が容易ですが、比較的軽い頭痛で本人が1人で歩いて外来受診された場合は、脳神経外科医でも正直見分けるのが難しいことがあります。
つまり、CTやMRI、髄液検査などを行わないと診断がつかず、単なる頭痛と診断されて鎮痛薬のみ処方されて帰されるケースは少なくありません。そして自宅に戻ってから再出血して重体になったり、亡くなってから「あの時の頭痛が前兆だったのかもしれない」と思い返される方がいらっしゃるのが現状です。
私の病院では、万が一に備えて頭痛を訴える患者さんには極力検査を受けていただいています。普段は頭痛持ちでない方が違和感を覚えたのでしたら、最近は小さなクリニックでもCTやMRIの設備が整っていますし、大学病院のように予約に苦労したり待ち時間も長くないですから、最寄りの「脳神経外科」もしくは「脳神経内科」を訪ねてください。