新型コロナウイルス「動物間」での感染拡大はなぜ怖いのか
ワクチンを打ち人流を減らせば新型コロナウイルスに打ち勝つことができる。多くの人はそう考えているはずだ。しかし、それは間違いかもしれない。人同士の感染を抑えても新型コロナは人間以外の動物の間でも感染拡大し、新たな変異株を誕生させている可能性がある。弘邦医院の林雅之院長に聞いた。
■猫、犬、ミンク、ネズミに続きビーバーも
モンゴル保健省当局者は12日、ウランバートルのビーバー繁殖センターで、少なくとも7頭のビーバーの新型コロナウイルスのインド株(デルタ株)感染を確認したという。飼育係からうつったとみられる。新型コロナウイルス感染症はこれまでもコウモリ、サル、ミンク、猫、ネズミなど人間以外の動物に感染することがわかっているが、ビーバーへの感染が確認されたのは初めてだ。
「本来、種の異なる生物の間では、生殖や感染症の伝播などが起こりにくいとされています。例えば狂牛病は牛同士では感染しますが、人への感染はごくまれです。それは病原体であるプリオンタンパク質は、牛と人間のように種が違うとそれぞれのプリオンタンパク質のアミノ酸配列がわずかに異なるからです。だからこそ感染性が大きく減少するのです。これを種の壁と言います。ところが、新型コロナウイルスは種の壁を乗り越え、人を含めて幅広い種に感染します。本当に珍しい。これだけ見ても新型コロナウイルスはこれまでにない特別なウイルスであることがわかります」