革新的がん医療実用化研究事業 岡山大が治験を進める「穿刺ロボット」

公開日: 更新日:

「ロボット本体をCT装置のすぐそば(本来、術者が穿刺する位置)に設置します。ロボットには自由に動かせるアームが付いていて、その先端に治療で使う針が取り付けてあります。そして、治験ではCT装置から4メートルくらい離れた場所で、術者は透明な遮蔽(しゃへい)板を挟んで椅子に座り、CT画像を見ながらコントローラーで操作するのです」

 18年の臨床試験では、10例の患者に対して生検を実施し、全例で腫瘍への穿刺に成功。また、術者への放射線被曝線量は、線量計による検出限界以下だったという。

 ロボットによる穿刺のメリットは、術者の被曝をゼロにできるだけではない。人の手による穿刺では、腫瘍に正確に穿刺できるよう、頻繁にCT撮影を行って穿刺角度などを確認しながら慎重に手技を進めることが多い。ロボットなら針が固定されているので、手ぶれのない高精度な穿刺が可能となる。

「術中のCTの撮影回数を減らせる可能性があるので、患者さんの被曝の軽減というメリットも期待できます。また、高精度の穿刺ができれば、治療時間が短縮できる上に、治療効果も高くなる可能性があります」

 現在進めている医師主導治験は、コロナ禍で若干遅れているが来年度中に終了予定。24年ごろの薬事承認、実用化を目指している。

【連載】コロナ禍でも注目 最新医療テクノロジー

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 4

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  5. 5

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  1. 6

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  2. 7

    大阪万博を追いかけるジャーナリストが一刀両断「アホな連中が仕切るからおかしなことになっている」

  3. 8

    NHK新朝ドラ「あんぱん」第5回での“タイトル回収”に視聴者歓喜! 橋本環奈「おむすび」は何回目だった?

  4. 9

    歌い続けてくれた事実に感激して初めて泣いた

  5. 10

    フジ第三者委が踏み込んだ“日枝天皇”と安倍元首相の蜜月関係…国葬特番の現場からも「編成権侵害」の声が