オミクロン株は本当に脅威なのか? 統計から見えてくる新型コロナの実態
しかし感染者数が急増しているため、まん延防止等重点措置を申請する自治体が増えている。今後、さらに緊急事態宣言が発令される可能性もある。だが、それが正しい対処法か、疑問が残る。
■21年の死亡数急増は行動自粛の影響か
厚生労働省の人口動態調査によれば、2020年は19年と比較して、死亡数が9000人減っている。マスク、手洗いなどのほか、行動自粛や店舗の営業自粛などが影響して、インフルエンザや普通の肺炎が激減したためである。ところが21年に入ってから死亡数が急増し、7月までに前年同期比で約4万5000人も増加した。また、国立感染症研究所の「日本の超過および過少死亡数ダッシュボード」でも、21年1月から9月までの、新型コロナの直接死を除いた超過死亡数は、最大で4万1606人と推定されている。実死亡数も超過死亡数も大幅に増えているが、それは主に循環器疾患によるものである。
これについて、専門家らは「新型コロナによる医療の逼迫が影響した可能性がある」と言っている。だが、医療が本当に逼迫した地域はごく限られていたし、それで新型コロナの死者数の数倍も超過死亡数を出したとは考えにくい。