サッカー選手に相次ぐ心臓トラブルの一因は「冠動脈起始異常」の可能性
サッカー選手に限らずアスリートが若くして心臓突然死するケース、とりわけほとんど症状はなかったのに1回目の発作で突然死に至るような場合、心室細動という致死的な不整脈が原因であれば「ブルガダ症候群」が多く、遺伝的な体質による心疾患では「マルファン症候群」の急性大動脈解離を疑い、それ以外では「冠動脈起始異常」が関与しているケースが多いと考えられます。
起始異常とは心臓に栄養や酸素を送っている冠動脈が本来の場所とは違うところから出ている先天性奇形で、運動や興奮による血圧上昇に伴い冠動脈が圧迫されやすくなることで、血流が急に途絶して再灌流障害を起こし、心室細動を招きます。
起始異常があっても、冠動脈が出ているところが本来とはミリ単位でほんの少しずれているだけだったり、血流に問題が起こらないような合流の仕方をしていれば、大きな問題はないといえます。突然死のリスクがある起始異常は、冠動脈が出ているところが1~1.5センチ程度ずれていて、その幅の中でいちばん極端な箇所から出ているような場合です。
そうしたハイリスクな起始異常があっても、普段は自覚症状がない人がほとんどです。しかし、加齢や身体バランスの変化などが生じ、運動量や心臓の負荷量が増えたり冠動脈自体の硬化が起きたりすると、血圧の上昇により急に心筋への血流が途絶するため、パンクしてしまうケースがあります。