著者のコラム一覧
坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

「断食」は骨や筋肉に悪影響 骨粗しょう症のリスクを高める

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「プチ断食」や「プチファスティング」が、相変わらず人気です。関連した本が何冊も出ていますし、雑誌やテレビで特集を組まれているのもよく見かけます。

 話題となる断食(ファスティング)はいずれも、固形物を食べないというもの。それによって胃腸が休まり、体にたまった老廃物や毒素など不要なものが排出される。結果、体重が落ち、腸内環境が改善され、自然治癒力が高まり、さまざまな不調が改善される。肌も美しくなる。また、記憶力が良くなる、認知症の予防になる、寿命が延びる、とうたっている人もいます。効果を耳にすると、いいことだらけですね。

 私は、健康を意識せずにダイエット目的に行う断食は、それが「週末だけ」「1週間だけ」であっても、推奨できません。

「プチ」という言葉は、「きつくて、つらそう」という断食の印象を遠ざけます。また、近年ブームの断食は、ジュースやスムージー、味噌汁、特製の酵素ドリンクなどを飲みながらやる方法で、「きちんと栄養素を取りながら行う安全な断食法」という印象を受けます。

 ただ、長年、糖尿病治療に専門的に当たっている医師の目からすると、それらの断食は、明らかに栄養面で偏っています。何度も繰り返せば、骨や筋肉に悪影響を及ぼし、骨粗しょう症やサルコペニアなどの発症を招きかねません。

 若い女性が美容のために断食を行う話も耳にします。しかし、日本では若い女性の「痩せ」が問題視されており、順天堂大の医師らの研究で、若い女性の栄養不足による「痩せ」は、糖尿病予備群のリスクを高めることが明らかになっています。

「でも、イスラム教はラマダンで、飲まず食わずの時間を過ごすではないか? あれもよくないのか?」といった声も聞こえてきそうです。ラマダンは一定の決められたルールのもとに行われるもので、彼らは歴史的にやってはいけないことはわかっています。だから、健康や命を脅かすような無理はしません。

■「時間制限」ならOK

 一方で、肥満の患者さんに必要に応じて提案している“断食”(という言葉が適切かどうかは疑問ですが)があります。それは、19時以降、または21時以降、朝まで何も食べないという時間制限を設けたファスティングです。

 この方法なら栄養が偏ることもありませんし、負荷のかかった臓器を休ませ、機能を正常化する効果があることもわかっています。無理なく体重を落とせ、肥満予防になり、生活習慣病の発症を食い止められます。

 断食とまではいかなくても、ゼロカロリーの食品や飲み物にこだわっている人もいますね。実は、そういった人ほど太っている人が多いんです。

 理由としては、「ゼロカロリーだからいいよね」とばかりに、ほかのものをたくさん食べていることが考えられます。ゼロカロリーの食品や飲み物を取っても、それらはほかの食べ物のカロリーをマイナスにはできません。普段飲んだり食べたりしているものをゼロカロリーに変更するならいいですが、通常の食事にゼロカロリーのものをプラスしても意味がありません。

 また、ゼロカロリーと表示されていても、完全にゼロではないものも。動物実験レベルになるものの、ゼロカロリーに含まれる人工甘味料が糖尿病の発症に影響するという報告もあります。

 ある50代の女性ライターさん。体重を気にされている彼女は、食事の後のデザートを我慢。その後、某コーヒーチェーン店で、抹茶パウダー入りの同店オリジナルコーヒーを、ミルクを無脂肪乳に変更して注文。しかしそれはバニラシロップ入りで、しかも彼女はチョコレートチップを追加。「痩せたいんですけど、なかなか痩せられなくて」と彼女は言うのですが、その理由を垣間見たように感じました。

 残念ながら、ダイエットには「正攻法以外の楽な道」はないのかもしれません。

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