病院でなくても輸血はできる 患者さんは揃って「楽になった!」
中には輸血のためだけに入院する患者さんも少なくなく、これは限られた病床数を有効に使用したい病院側にとっても問題といえるでしょう。
それが在宅医療では自宅で輸血ができるわけですから便利です。前日までに採血を行い、その検体を診療所に持ち帰り検査会社がその夜にクロスマッチ検査をします。次の日の朝には結果が出て異常がなければ、血液製剤を持って患者宅に訪問し、輸血を実施するのです。
患者さんの負担は、前日までの採血の時間と輸血の時間だけ。その他の時間は自宅で好きに過ごすことができ、通院や入院する場合に比べて患者さんや家族の負担も大幅に減少するわけです。
輸血が必要な「骨髄異形成症候群」を患う80歳の患者さんが、この夏に当院で自宅療養を開始されました。骨髄中の造血幹細胞に異常が起き、正常な血液細胞がつくられなくなる病気です。
この患者さんの場合は糖尿病貧血もあり、疼痛と血糖の管理と定期的な輸血管理が必要。当初、埼玉の自宅付近に輸血対応ができる在宅医療クリニックがなく、入院も考えたのですが、ご本人の希望で入院はせず。奥さまと2人暮らしの自宅での療養をするため、輸血可能な当診療所が紹介を受けたのでした。