著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

古谷一行さん急逝…胃全摘による激ヤセで抗がん剤の副作用は重くなる

公開日: 更新日:

 ですから、肺がんの初期治療後は経過観察で脳転移を早期に見つけて治療することが大切。そのためにはMRI検査を受けること。CTでは見つからない小さな病変を発見できます。被ばくリスクもありませんから、MRIは重要です。

 脳転移が見つかったら、脳への定位放射線治療を受けてから、EGFR阻害剤を組み合わせる治療が効果的。EGFR阻害剤の登場前は、せいぜい半年だった治療成績が今や完治も可能になってきているのです。その典型が、古谷さんの肺がんといえるでしょう。

 では、胃がんはどうでしょうか。古谷さんは胃がんの判明で、全摘しています。一部週刊誌で激ヤセぶりが報じられたのは、全摘の影響だと思われます。胃は食欲ホルモンや消化液を分泌しますが、全摘でその分泌がストップするため、食欲の低下を伴って消化不良と栄養吸収障害が発生。その結果、激ヤセするのです。

 それで、気になるのは「抗がん剤もやめていた」というバンドマンの長男の言葉。胃がんが進行すると、術後に抗がん剤投与を行います。体重が15%以上減ると、7割以上が抗がん剤を離脱するといわれるのです。体重減少で栄養状態が悪いと、副作用の口内炎や吐き気が出やすく、余計に食べられなくなり、痩せる悪循環に陥りやすいためと考えられます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  4. 4

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 5

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  1. 6

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  2. 7

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり

  3. 8

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  4. 9

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  5. 10

    遅すぎた江藤拓農相の“更迭”…噴飯言い訳に地元・宮崎もカンカン! 後任は小泉進次郎氏を起用ヘ