腰痛・肩こりの改善と予防…「寝具」の研究が進まない理由
中高年にとって、健康上の大きな悩みのひとつが「腰痛」です。国民生活基礎調査(厚生労働省、2019年)によれば、男性の9.1%、女性の11.3%が腰痛を訴えています。そのうち男性で7割、女性で8割が、50歳以上です。
肩こり(首こりを含む)も大勢います。症状を訴える人は、男性では5.7%、女性では11.4%となっています。ただし、比較的若い人にも多く、50歳以上は男女とも50%台となっています。
腰痛も肩こりも、病院で完全にスッキリ治ることは多くはなく、鍼灸(しんきゅう)を受けたり、自宅で湿布薬を貼ったり、ストレッチをしてみたり……と、みなさんいろいろやってみるのですが、効果は限定的といったところでしょう。
ところが「寝具を替えたら腰痛がよくなった」「肩こりが解消した」といった話をよく耳にします。そのため、ネット通販などには、「腰痛に効くマットレス」や「肩こりを予防する枕」が多数出品されています。
これは日本だけでなく、どうやら世界共通のことのようです。ニューヨーク・タイムズやフォーブスなど、エリートビジネスマンが読むような新聞・雑誌でさえ、「腰痛にいいマットレス ベスト10」といった特集記事を、毎年掲載しているほどです。