薬が飲み込みづらい…それは「錠剤嚥下障害」だ 専門家が警鐘
錠剤嚥下障害の早期発見、早期対策が重要なのは、それが招く弊害が大きいからだ。
当然ながら、薬をのみ込めなければ、病気への薬効を得られない。液体のみが咽頭内に流入し、錠剤が口腔内に残留するケースもある。
「ある高齢患者さんは、内服2時間後でも、錠剤が口腔内に残ったままでした。高齢者では口腔内が乾燥し、舌が動かしにくく、また口内に物が張り付きやすい。咽頭や食道に薬が残留すると、粘膜損傷や潰瘍が生じるリスクがあります」
■「砕いて飲む」は百害あって一利なし
倉田氏らは、介護施設利用者の薬の服用方法に関する現状調査を実施。コロナ禍での困難な調査だったが、「内服薬を服用している利用者1993人」の情報を得ることができ、注目すべき結果が得られた。
前述の通り、高齢者は嚥下機能の低下で錠剤嚥下障害を起こしやすいが、全体の2割が薬を粉砕して服用。服薬介助が必要で薬を粉砕して服用している人では、8割強が「粉砕した薬をとろみやゼリーで飲む・食事に混ぜて飲む」だった(※粉砕は本人がしているのではなく、施設や薬剤師)。