認知症終末期の親が誤嚥しないための食事介助法は?
認知症終末期になると、自力で食事を取ることが難しくなり、家族による食事介助が必要になります。その際、注意したいのが「誤嚥(ごえん)性肺炎」です。認知症により脳の萎縮が進むと嚥下機能が障害されて食物をうまくのみ込めなくなります。通常であれば、水分や食物が誤って気管に入る「誤嚥」が起こると、その後、咳反射が誘発されて気管内から食物を喀出(かくしゅつ)しようとしますが、認知症が進行するにつれ咳反射も低下していきます。
また、誤嚥しても咳が起こらないことを「不顕性誤嚥」と言い、このような状態で、食物や口腔内の細菌が気管から肺に入り込むと、誤嚥性肺炎を引き起こしやすくなります。
ある50代の男性は認知症終末期の父親を自宅で介護していて、1年ほど前から食事の介助を始めたといいます。メニューはおかゆや軟らかくつぶした食事で、スプーンですくって口元に近づけると、しっかりと食べてくれていたそうです。しかし、次第に食後に痰(たん)が増え、原因不明の微熱が続くため、訪問診療を依頼されました。嚥下診察を行い、嚥下の精密な検査を実施すると、水分で不顕性誤嚥を起こしていたので、次のような工夫をお伝えしました。