親の「悪いところがないから大丈夫」は鵜呑みにしない
母はいつも健康に気を使い、骨粗しょう症対策として小魚や牛乳を積極的に取り、骨を強くする食事をしていると話していたからだ。要するに、本人の思い込みによる「自称健康人」だったわけで、しっかり検査を受けたこともないのに、「毎日歩いているから足腰は丈夫」「牛乳とカルシウムを毎日食べているから骨も丈夫」のように考えていたわけだ。
高齢者の思い込み的な思考はよくあることだが、たとえ本人に何らかの不安要素があったとしても、子供に心配かけたくないからと口に出さない。自称健康人ほど病院に行きたがらず、健診を受けても結果をしっかり理解できない(医師の忠告を聞き流している)ため、病気やケガに至ってしまうこともある。
事実、圧迫骨折判明後に主治医と深く話をしたところ、もっと早く骨粗しょう症がわかっていれば、投薬や注射による骨の強化もできたし、入院などで認知症が進むリスクも抑えられたのでは、との話もあった。
参考までに、2019年の「国民生活基礎調査」(厚生労働省)では、介護が必要になった(介護認定された)人の原因トップ3は男性が脳血管疾患、認知症、高齢による衰弱の順。女性は認知症、骨折・転倒、高齢による衰弱の順だった。
母は5年前の骨折により介護問題が一気に進行した。高齢の親の健康に関する言葉は鵜呑みにしない。離れて暮らしているなら、なおさらだ。タイミングを見て、「本当に健康?」と確認するべき。ただし、しつこく言い過ぎるとうるさがられ、本当のことを言わなくなる可能性もあるので、あんばいも大事。